2008年11月25日火曜日

11/21ギャラリー日記「11月の来館者数、オープン以来最高の300人」

ケミレスギャラリーはすでにお知らせしているとおり、現在休館中ですが、11月1日から11月20日までの20日間で、来場者数が300人に達していたことがわかりました。

この「300人」は7月にギャラリーがオープンして以来、1か月間の来場者数として過去最高です!

今月は千葉大センター祭(オープンキャンパス)や公開講座、見学会などイベントが多かったことが来場者数が増えた大きな理由です。

千葉大センター祭は、シックハウス症候群についてほとんど関心がなかった方々にもギャラリーを見学していただくよい機会になりました。

一方、公開講座や見学会などの際には住環境に関する多くの専門家の方々に見学していただきました。

ミレスギャラリーは、シックハウスについて全く関心がない一般の方々が、シックハウスを知り、シックハウスを防ぐ方法を見つける場であると同時に、住環境に関するあらゆる分野の専門家の方々が正しい知識を深め、解決の方法を探ることができる場でありたいと考えています。

つまり、一般の方も専門の方もどちらも対象としたギャラリーです。

来春の再オープンに向けて、さらに内容を充実させたギャラリーをお見せできるように全力で準備したいと考えております。

再オープンしたケミレスギャラリーもどうぞよろしくお願い申し上げます。受付H

11月に開催された主な公開講座、見学会等
●千葉大学センター祭(11月3日)
環境共生住宅推進協議会様によるケミレスタウン見学会(11月12日)
NPOサステイナブル・コミュニティー研究所様、NPO地域再創生プログラム様、NPOにっぽんミュージアム様、3つのNPO合同によるケミレスタウン見学会(11月15日)
●千葉大学大学院医学研究院環境生命医学講座主催の公開講座(11月17日)
●株式会社高千穂様のゲストハウス見学会(11月20日)

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ケミレス・ギャラリー休館
来春再オープン予定
詳細についてはこちらをご覧ください
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2008年11月23日日曜日

バファリン&ムヒSの奇跡

 私の化粧ポーチには、お化粧品以外にも風邪薬や頭痛薬、かゆみ止めのクリーム「ムヒS」などが一緒に入っています。かゆみ止め?と思われるかもしれませんが、先日のブログにも書いたとおり、なにしろ蚊に好かれるタイプなので、よくかゆみ止めが必要になるからです。

 先日も、見学会のときに説明しながら目の前に立っている人の耳に蚊が止まったのを見てじっとしていられず、その人の耳を「すみません!!」と叫びながらパチンとはたいてしまいました。さぞびっくりされたことでしょう。それで「皆さん、この辺りは緑が多いので、蚊もたくさんいます。もうすっかり涼しくなったのですが、まだまだ元気に飛び回っていますから、気をつけてくださいね」と説明したのです。

 ところがその10分後、自分の足が刺されていました。「なんかかゆいなあー」と気づいたときにはすでに遅し・・・。それで、いつも持ち歩いているムヒSをポーチから取り出そうとしたら、画像のとおり、クリームの入ったチューブのキャップに、頭痛薬バファリンがぴったりと挟まっていたのです!すごいでしょ?

 はめようと思ってもなかなかはまらないと思うのに、ぴったんことはまってしまい、取れません。ポーチの中に長いこと入れている間に、バファリンがアルミのケースからはずれ、しかもムヒSのキャップの頭にちょうどはまってしまったのでした。

 こんなことってあるんですねー。戸髙

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ケミレス・ギャラリー休館
来春再オープン予定
詳細については
こちらをご覧ください
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2008年11月18日火曜日

環境医学診療科の引っ越しをしました

環境医学診療科は11月末からリフォームにはいる予定で、18日(火)に引っ越しをおこないました。診療機器や什器などあっという間に運び出され、講義室に移されました。そのあとは広くて明るい空間と なりましたが、すぐに内装の解体に入ります。リフォーム工事期間中は残念ですがギャラリーや講義室は一般の方はご覧いただけません。

どなたにも心地よく感じていただける空間、環境をめざして工事をすすめていきます。来春のギャラリーや診療所の再オープンが楽しみです。
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ケミレス・ギャラリー休館
来春再オープン予定
詳細についてはこちらをご覧ください
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2008年11月17日月曜日

公開講座「シックハウス症候群を知っていますか?」を開催しました

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平成20年度厚生労働科学特別研究事業
「シックハウス症候群の診断・治療法及び具体的対応方策に関する研究」分担研究
『シックハウス症候群を知っていますか? 
-基礎知識から人材育成まで-』
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2008年11月17日(月)に千葉大学大学院医学研究院環境生命医学講座主催の公開講座を開催いたしました。当日は、40名を超える方々がご参加くださいまして、会場となったシックスクール対応のテーマ棟講義室は満員となりました。

今回の公開講座には、 健康事業総合財団東京顕微鏡院技術参与 瀬戸博先生、北里大学大学院薬学研究科教授 坂部貢先生をお招きしまして、シックハウス症候群に関してより一層深い内容のお話をしていただきました。

講演に続き、ご参加の皆様にはケミレス・ギャラリー及びケミレスタウン実験棟(戸建住宅モデル)を見学していただきました。

≪公開講座の様子≫


≪瀬戸先生、坂部先生≫


≪森による質疑応答、戸髙によるケミレスギャラリー説明≫

≪ケミレスタウン 実験棟(戸建住宅モデル) 見学≫


【プログラム】
13:00-13:10
挨拶 千葉大学大学院医学研究院 教授 森千里
13:10-13:45
シックハウス症候群の定義と現状
千葉大学環境健康フィールド科学センター助教戸髙恵美子
13:45-14:30
シックハウス症候群の原因となる主な化学物質について
健康事業総合財団東京顕微鏡院 技術参与 瀬戸博
14:30-15:00
シックハウス症候群への予防医学的対応
千葉大学大学院医学研究院 教授 森千里
15:00-15:30
シックハウス症候群の最近の動向
北里大学大学院薬学研究科 教授 坂部貢
15:30-16:30
ケミレスタウン(化学物質を低減した街づくり)の見学

ジャーマンデーとドイツ大使館でのレセプションパーティ

  東京ビッグサイトで開催された第30回ジャパンホーム&ビルディングショーで、ジャーマンデー(http://www.jma.or.jp/JHBS/raijo/04.html#german)の催しが11月13日(木)にあり、森教授が「未来世代の街づくり:ケミレスタウンプロジェクト」というタイトルで基調講演をおこないました。 この講演会は日独の同時通訳がはいり、日本、ドイツの方がたくさん講演を聴きに来てくださいました。 特に環境改善型予防医学を軸としたケミレスタウンの街づくりには多くの関心が寄せられ、講演後も森教授はドイツ人の住宅関係、コンサルタント、新聞記者たちに取り囲まれ質問攻めにあっていました。 また、森先生の曾祖父、森鴎外はドイツに医学の勉強のために留学していたこと、ベルリンには鴎外の記念館があること、鴎外の子供、孫はドイツ人の名前がつけられていることなど、大変ドイツと縁が深いといったお話にも皆さん大変興味を持たれたようでした。 

  ケミレスタウンプロジェクトでも 8月にドイツ・フライブルクを訪問し情報交換会を持ったところ、室内環境と健康に関して全く別々にでしたが、同時期に同じ方向を向いて進んでいることを知りとても驚きました。ドイツの方たちとは、これからもお互いに情報交換や交流を通して、未来世代の健康や安全な環境を考えた街づくりに取り組んでいきたいと思います。 
  
  この日の夕方は、森教授、戸高助教、中岡は広尾にあるドイツ大使館のレセプションパーティに出席しました。広尾というところは、大使館などが多くあり、日本にいながら外国にいるような雰囲気が漂っています。行き交う人の話す言葉は、日本語でないことのほうが多く、すっかりお上りさん状態の私たち(というか私だけ?)は、おしゃれなお店やスーパーマーケットをきょろきょろと見回し、歓声をあげてしまいました。

  大使館はさすがにセキュリティが厳しく、私たちはひとりひとりチェックをされたあと、二重の鉄の扉(!)を通り抜けて到着したのは、高い吹き抜けの明るいホールでした。吹き抜けの部分にはロープが何重かに張り巡らされ靴が何十足かぶらさがっていましたが、これを見たときの私たちの顔には「???」が浮かんでいたことと思います。(あとでこれはモダンアートの展示だということがわかりました。)レセプションパーティは和やかで、ドイツの方のあたたかなおもてなしでとても気持ちよく過ごすことができました。食事や飲み物、会話などすみずみまで気が配られており、今まで、ドイツの人に対しての、「堅い、まじめ」というイメージに明るくてユーモアがあり、親切というイメージが加わりました。

  ケミレスタウンプロジェクトとドイツのつながりはどんどん深くなっているような気がします。さらなる日独交流を通して、サステイナブルな社会と地球の未来をともに考え、行動していくことができたらと願っています。

中岡(サステイナビリティ学アソシエーション研究員)

2008年11月16日日曜日

11/15(土) 3NPO様 ケミレスタウン見学会・シンポジウム

11月15日に、NPOサステイナブル・コミュニティー研究所様、NPO地域再創生プログラム様、NPOにっぽんミュージアム様、3つのNPO合同によるケミレスタウン見学会が行われました。

参加者の皆様は、戸高助教による「シックハウス症候群の定義と現状」、続いて森教授による「シックハウス症候群への予防医学的対応」の説明をお聞きになりました。


説明の後、2時間ほどかけてケミレス・ギャラリー、ケミレスタウン内の4棟の実証実験棟(ゲストハウス)を熱心に見学されました。(写真はケミレスギャラリーの説明風景)






見学の後、NPOサステイナブル・コミュニティ研究所理事長である川村健一様と森教授、戸高助教による対談をおこない、最後に講師・参加者全員による交流会を行いました。

2008年11月14日金曜日

11/14 ギャラリー日記 「休館させていただきます」

絵に描いたような秋晴れです。

ケミレス・ギャラリーに向かうため、柏の葉キャンパス駅に降り立ったとたん、 きらきら輝く赤く染まった木が目に飛び込んできました。あんまりきれいだったので思わず1枚撮りました。

写真の建物は「ららぽーと柏の葉」です。

ケミレス・ギャラリーへはこの「ららぽーと柏の葉」の正面入り口(写真の真ん中あたり)を入って、真っ直ぐ通り抜け、「千葉大学出口」から出る、というルートが分かりやすくて、近道です。

といっても、ギャラリーは2階の診療科改装工事のため、来年2月まで休館させていただきます。少しずつ来館者の方々も増えてきた今、休館するのは大変残念で、また近々来館を予定していた方々に対して本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

来年の再オープンの頃は、写真の紅葉はすっかり落ちて景色ががらっと変わっていることと思います。
来年、皆様にギャラリーでお会いできるのを楽しみにしております。 時節柄、くれぐれもお体をご自愛ください。受付H

ケミレス・ギャラリー開館日
2008年11月15日(土)  休館
11月16日(日)  休館
11月17日(月)  開館  13時~16時30分

 
2009年 2月 オープン予定。日時などが決まり次第ホームページに掲載いたします。

2008年11月12日水曜日

11/12(水) 環境共生住宅推進協議会様 ケミレスタウン見学会

11月12日に、環境共生住宅推進協議会様によるケミレスタウン見学会が行われました。

参加者の皆様は、まずテーマ棟2階にあるシックスクール対策を考慮した講義室で、森教授による「ケミレスタウンプロジェクトについて」の説明をお聞きになりました。



その後、ケミレス・ギャラリー、ケミレスタウン内の実験棟(ゲストハウス)を熱心に見学されました。最後に、皆様からのご質問に戸髙助教が回答して見学会は終了いたしました。






←皆様がテーマ棟を出られて実験棟に向かうところです。ケミレスタウンテーマ棟の南側に、4棟の実験棟が並んでいます。

秋のケミレスタウン

寒い日が続き、いつの間にかケミレスタウンの秋が深まっていました。


2008年11月10日月曜日

森教授の原稿が週刊エコノミストに掲載(11月25日号)

ケミレスタウン・プロジェクトを率いる森千里・千葉大学大学院医学研究院教授の原稿が、週刊エコノミスト(毎日新聞社刊)に掲載されます。本年11月25日付け号です。同誌の「学者が斬る」というコーナーに掲載されるもので、タイトルは「シックハウス症候群の深刻」。

ご興味のある方は、立ち読みでも結構ですので是非お読みください。内容は、業界ではすでに終息した問題と考えられがちな「シックハウス症候群」ですが、現実には被害者は出続けていること、根本的な対策が必要であることなどを訴えたものです。先月末には、国民生活センターが、過去4年間にシックハウスに関する苦情が1000件以上寄せられていると発表しており、やはり、とうてい終息した問題とは思えません。

実は私も、家具でシックハウスになった経験があるのですが、国民生活センターにはわざわざ届けませんでした。実際にはもっと多くの方が被害にあっているのではないかと思います。もっともっと多くの人に、シックハウスの問題、毎日休みなく呼吸し続ける室内空気の安全性の大事さに気づいてほしいと思います。国民生活センターの発表内容については、以下のHPをご覧ください。(戸高恵美子 千葉大学環境健康フィールド科学センター 助教)

台湾出張日記(2008年10月22日~25日)

10月22日から25日まで森教授、戸高助教と中岡は、国立台湾大学公共衛生学院で開催された千葉大学・台湾大学合同の大学院課程「サステイナブル環境健康科学集中講義」に参加するため台湾台北市を訪問しました。

集中講義に先立ち、台湾教育省(日本の文部科学省)を訪問し、台湾におけるサステイナビリティに関する取り組みについて説明を受けたあと、実際に実践している台北市南部の小学校を訪問しました。この小学校を訪問する前は「なんで私たちが小学校へ行くの??」という声がちらほら聞こえていましたが、教職員、PTA、地域の人たちが本当に熱心に環境問題に取り組んでいること、その取り組みが現実に成果となってきていることを目の当 たりにしてみると訪問者一同感心することしきりでした。その上、給食をごちそうになったり、お昼寝をしている子供たちを見たり(台湾では給食の後はお昼寝の時間があります。)した後では「来てよかったね。」とみんな喜んでいました。

小学校訪問の後は、国立台湾師範大学でグリーンルーフやエコガーデンなどを見せていただきました。グリーンルーフとは大学建物の屋上で緑化を進めているところで、野菜を育てたり、太陽熱を利用して料理ができる器具や雨水を利用したシャワーなどがあり学生たちのパーティなど使われているそうです。エコガーデンは雨の多い台北特有の気候に配慮されてつくられており、排水を濾過させた水を使用したり、浄化作用のある水生植物を育てたりして工夫されたエコポンド(池)がありました。 このエコガーデンがある一角は緑が濃くて、暑い (10月末でしたが日本の夏のような気候でした。) 台北でも涼やかな風が吹いていました。

集中講義は10月24日、国立台湾大学公共衛生学院で行われました。学部長のChiang先生のご挨拶からはじまり、森教授、戸高助教の「サステイナブル環境健康科学」についての背景と将来のビジョン、ケミレスタウンの説明がありました。国立台湾大学ではすでに大学院においてサステイナビリティ学についてのコースがスタートしているそうですが、森教授の提唱する「サステイナブル環境健康科学」について、また、ケミレスタウンについては、多くの学生に関心と興味を抱いていただいたようでした。

その後、公衆衛生学について台湾、日本、アメリカのそれぞれの国の背景、概念、現状について国立台湾大学Chan 教授、ミネソタ大学Toscano教授、千葉大学の羽田教授から講義がありました。これらの講義は3カ国の公衆衛生学の講義を続けて受講することができるという素晴らしい機会でしたし、国の歴史や事情、国民性によって考え方、取り組み方に違いがあることがよくわかり大変印象深いものでした。

集中講義では、そのほかに、台湾における気管支喘息、アレルギー性鼻炎およびアトピー性湿疹の現状、環境疫学の講義が国立台湾大学病院のGuo教授から、食の安全性に関する知見と食品分析方法の最新の動向について国立台湾大学Chen副教授から、台湾における作業領域での安全な曝露指針の提案と題し、作業領域下でのリスクアセスメントについての講義がWu副教授からありました。どれも最新の情報が公表され、興味深いものでした。

この集中講義は、ほとんど休みなく行われ、ハードな講義ではありましたが、熱心な先生方のおかげで、受講した千葉大学、国立台湾大学の大学院生にとっては素晴らしい経験となりました。また、講義終了後、両国の大学院生たちがスピーチを行い、情報交換もでき中身の濃い一日でした。

集中講義の開催を快く引き受けてくださったChiang学部長、集中講義をアレンジしてくださったChan教授、いつもにこやかに迎えてくださるLin教授、緻密な作業と細やかな心遣いをしていただいたChan研究室のアシスタントのTzu-Peiさん、Donnaさん、およびRo-Tinさん、Maggieさんをはじめとする国立台湾大学大学院生のみなさん、素晴らしい時間をありがとうございました。これからも情報を交換しながら、サステイナブル健康科学の概念を広め、未来世代の環境と健康を守るために、一歩ずつ前へ進んで行けたらと願っています。

今回の台湾訪問では、集中講義以外にも、視察をさせていただいた台湾教育省や小学校の関係者の皆様、国立台湾大学医学部解剖教室の皆様、ありがとうございました。近いうちに皆様に、ケミレスタウンをご案内する機会があればと思います。ぜひ日本に遊びにいらしてください。
中岡(千葉大学サスティナビィリティ学アソシエーション研究員)

2008年11月7日金曜日

ケミレス・ギャラリーはしばらくの間休館いたします(11月20日~来春まで)

11月18日よりケミレスタウンテーマ棟環境医学診療科の内装改修工事をはじめます。 工事期間中、テーマ棟は閉鎖いたします。

そのため、ケミレス・ギャラリーは、 11月20日~来春まで休館とさせていただきます。

最近はケミレス・ギャラリーの見学者が少しずつ増えてきたところでしたので、 ギャラリーを休館することはとても残念です。

皆様にはご迷惑をおかけしましてたいへん申し訳ございませんが、 ご理解くださいますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

詳細及び再開の予定については、ケミレスタウン®プロジェクトのページでご確認ください。

2008年11月4日火曜日

台湾大学で森教授が台湾環境大臣と面談しました。

ちょっと前の話になって恐縮ですが、ケミレスタウンを主宰する、千葉大学大学院医学研究院教授の森千里が、9月6日、台湾大学で講演をしました。

POPs(Persistent Organic Pollutants=残留性有機汚染物質)の対策についての講演会で、台湾行政院環境保護署(英語では、Environmental Protection Administrationです。日本では環境省にあたります)の主催でした。そこで、森が「日本のPOPs対策」について話をしました。

講演会場に車が着いたところ、会場の前にはテレビ局のカメラなどが来ており、「今日は何か特別な催し物でもあるのかなあ」と思っていたのですが、なんと私たちの参加した会議を取材に来ていたのでした。会場に案内されて驚きました。とても大きな階段教室で、大勢の学生たちが集まっていました。

控え室に行くと、環境保護署のトップの皆さんがご挨拶に来てくださいました。私たちは、もっと小ぢんまりとした会議を想像していたので、びっくり仰天して、おろおろしてしまいました。

講演会の冒頭、森からは、へその緒からはたくさんの種類の残留性汚染物質が検出されており、それらによる胎児影響が心配であるというお話をしました。たとえば、ダイオキシン、PCB、臭素系難燃剤、カドミウム、水銀などの重金属、有機スズなど、さまざまな蓄積性のある(体の中から出て行きにくい)汚染物質が、現在生まれてくる赤ちゃんのほぼ100%のへその緒から検出されています。

へその緒は、胎盤の内側、胎児の側の組織で、胎児の体の一部です。へその緒は、お母さんと胎児を結ぶ唯一の組織で、お母さんから大切な栄養と一緒にいろんな汚染物質も胎児に送られてしまいます。これらの複合的な汚染によって、どのような健康影響が出ているのか、未知の部分が多いので、小児科、産婦人科と共に「臍帯(へその緒)プロジェクト」をつくり、小児アレルギーとの関連を研究しています。その経緯をご報告させていただきました。

この辺りの詳細は、私たちの著書「へその緒が語る体内汚染」(技術評論社)に詳しいので、お知りになりたい方はぜひ読んでみてください。

残留性の汚染物質のみならず、残留性の低い物質ももちろん胎児側に行っているのですが、残留性が低いということは、つまり、分解されやすい物質ということで、そういう物質を精密に分析して測定することはとても難しいのです。ただ、残留性が低くても、常に体外から体内に取り込んでいると、常にその物質にさらされているのと同じことになり、その影響は残留性が高いものと変わらない、ということになります。もし、分解されやすいものでも精密に分析する方法ができれば、汚染実態をもっと詳細に明らかにすることができると思うのですが、今のところは、残留性が高いものを中心に測定しています。

講演会終了後、環境保護署で「ディスカッション」を、ということで、案内していただきました。私たちは、環境汚染物質について現場で働いている方たちと、具体的な対策についての打ち合わせを小会議室などで行うのだろう、と気軽に「はいはい」と言いながらついていったのです。

環境保護署の正面玄関では記念写真をぱちり。さあ、次はどこで写真とろうかな、と案内されるままにビルを上がっていくと、なんだかりっぱなお部屋に通されました。「??この部屋はテーブルがないから会議はできないのでは??あれ?ずいぶん立派な椅子が並んでいる・・・。えっこれって、よく国会で閣議前に大臣たちが横並びに並んで写真を撮っている、あんな感じ??」とまたもやおろおろしていると、「さあさあ、森先生はその真ん中の左に座って。戸高さんはその横の椅子に座って」と促されてしまいました。「どうしよう、どうしよう」と言っている間に、台湾行政院環境保護署の沈世宏(Shu-Hung Shen)署長が、「やあやあ」と入ってこられました。

同行してくださった、台湾大学公共衛生院の林先生から、「He is the Minister of the Administration.」といわれ、「Minister? Ministerって、ミ、ニ、ス、タ、ー???『大臣』?じゃあ、台湾の『環境大臣』??」と何度も森と顔を見合わせました。

沈署長は、大変流暢な英語を話され、笑顔を絶やさないスマートな方です。以前、台湾市の環境担当の責任者だったとのことで、馬英九さんが台湾の新しい総統になられたときに、国の環境行政のトップに抜擢された、とのことでした。

沈署長からは、台湾で今「日本のように台湾をきれいにしよう」というプロジェクトが進んでいる、というお話や、台湾での環境教育、リサイクルのお話しなどを聞かせていただきました。おみやげに、台湾の小学生が環境をテーマにして描いた絵を印刷したマグネットや、携帯用のお箸をいただきました。

森教授からは、ぜひ台湾でも環境中の微量汚染物質による健康影響について研究を進めてほしい、というお話しをさせていただきました。

戸髙恵美子(千葉大学環境健康フィールド科学センター 助教)

台湾の日本語

この仕事を始めてから、台湾に行く機会が多くなりましたが、台湾の方は皆さん驚くほど親日的で、若い方は多くの方が日本語を上手に話します。昔日本の植民地であったので、70歳以上の高齢の方がきれいな(今時の日本語よりもよほどきれいな)日本語を話されるのはわかるのですが、十代、二十代の若い方たちが上手に話すのはなぜなのか?

聞いてみると、皆さん「日本語のドラマやアニメを見て覚える。字幕が出るからわかる」というのです。同様に、アメリカのドラマを見て英語を覚えた、といって、大変流暢なアメリカ英語を話す人もいます。アメリカには一度も行ったことがないのに、です。

翻って、日本ではどうかというと、いくら日本で英語のドラマや映画を見たとしても、とても話せるようになんてなりません。この違いはいったい???

私が思うのは、実は日本語って、割と学びやすい言語なのではないでしょうか?いえ、けっして簡単な、単純な言語だとは言いません。日本人の多くが「日本語は難解な言語だ(そんな難解な言語を操るわれわれはすごい)」と思っており、それも一理あるとは思うのですが、中国語を学ぼうとすると、その発音の難解さに早々に壁にぶつかります。まねはできるのですが、中国語の発音はほんとに複雑で、少しでもイントネーションを間違えると、もうわかってもらえません。それでも私たち日本人は、漢字を使っている分、欧米人が中国語を学ぶのに比べれば、ずっと楽に学べるはずなのですが。

一方、日本語は、発音は単純です。日本語で難しいのは、相手によって呼び方が変わったり、敬語が複雑だったりする点ではないでしょうか。男性言葉、女性言葉もありますし。「あなた」という意味の言葉にも、「おまえ」「あんた」「君」などがあり、口が悪い人は「てめえ」などということもありますね。「わたし」という意味にしても「わたくし」「あたし」「ぼく」「おれ」などがあり、最近は「うちら」などという言い方も流行っています。

しかし、中国語を話す人にとって、日常的に友人との間で使う日本語を学ぶのは、それほど難しいことではないのではないかなと感じています。

一方、「植民地支配というのは、ものすごく強力なものなのだ」とも思わされます。植民地支配が終わり、日本語を使うのはご法度になって何十年もたってもまだしっかりと話せる方たちがたくさんいらっしゃるのですから。

もう一つは、台湾は実は多民族・多言語国家なので、複数の言葉を学ぶことにそれほど身構えないのではないか、とも思います。中国語を学ぶときに一般に使われるのは、いわゆる「北京語」で、英語では「マンダリン」などと言います。しかし、台湾では「台湾語」といわれる言葉も使われており、ほかにも「客家(はっか)語」「広東語(英語ではカントニーズ)」、またほかにさまざまな先住民族(台湾では「原住民」と呼びます)がいるので、その方たちは独自の言葉を持っています。台湾のテレビ局には、「北京語」のほかに、「客家語」「広東語」などの放送局があり、それぞれの言葉でドラマなども作っているそうです。

そう考えると、台湾の方がいろいろな国の言葉を比較的容易に受け入れるのも、なるほどとうなずけるものがあります。政治的な背景からか、逆に今五十代、六十代の方たちのほうが、日本語が話せなかったりします。台湾の教授たちと話していると、子供の頃、両親は子供に聞かせたくない話をするときはお互い日本語で話しをしていた、という話しをよく聞きます。

9月にお会いした環境保護署のある方は、現在五十代の後半ですが、日本語をよくお話しになります。聞くと、同年代のほかの多くの方と同様、「両親は私たち子供に聞かせたくない話をするときは日本語で話していた」というのです。ところがその方は、「両親が話しているのを聞いて、どうしても日本語がわかるようになりたくて、テレビの日本語放送などをたくさん見た。日本にも何度も行き、わかるようになった」とおっしゃっていました。

テレビを見て、話せるようになるなんて、すごい能力だ、とも思いますし、日本語って、日本人が思うほど難しい言葉ではないのではないか、と思います。

皆さんも、まだ行ったことがなければ、ぜひ台湾に旅行されることをお勧めします。ただ、雨季に行くと、気が狂うほど蒸し暑いですが。

戸髙恵美子(千葉大学環境健康フィールド科学センター 助教)

ドイツの子うさぎ

うさぎ好きの戸髙より、ドイツで出会った子うさぎちゃんの写真が届いたので、10月2日投稿の「ケミレスタウンの子うさぎちゃんに想う」に写真を追加しました。

2008年11月3日月曜日

2008年11月3日 千葉大学 センター祭


センター祭の模様


ケミレス・ギャラリー、実験棟

写真は、2008年11月3日に開催しました「千葉大学環境健康フィールド科学センター センター祭」の様子です。

少し肌寒いお天気でしたが、たくさんの方が環境健康フィールド科学センターにお見えになりました。センターで販売している野菜・果物・苗等は、買い物客の並びが出るくらいの人気なのですが(しかも毎日です!)、センター祭でも飛ぶように売れていました。

その波がケミレス・タウンにも押し寄せました。ケミレス・ギャラリーには約150人の方が見学にいらっしゃいました。また、シックハウス対策を考慮した4棟の実験棟(ゲストハウス)には、ハウスメーカーの方が常駐してくださり、ご見学の方々に詳しい説明をしてくださいました。

たくさんの方がケミレス・タウンを見学してくださると、シックハウス症候群やケミレス(化学物質低減)という考え方が少しずつ広がっていくようで、とても嬉しく感じます。

2008年11月2日日曜日

11月 ケミレスタウン公開日

ケミレスタウンの見学においでください!

■2008年11月
公開日:
11月13日(木)・14日(金)・15日(土)・17日(月)
13時~16時半

◆日程によって、公開されないゲストハウスがあります。ご注意ください。
◆建設したハウスメーカーの担当者の方が説明に来てくださる日もあります。
さらに詳しくお知りになりたい方は、NPOケミレスタウン推進協会までお問い合わせください。
NPOケミレスタウン®推進協会
電話: 04-7137-8200 FAX: 04-7137-8180

2008年11月1日土曜日

公開講座を開催いたします。

シックハウス症候群にご興味のある方はぜひご参加ください。

講座題目:
『シックハウス症候群を知っていますか?-基礎知識から人材育成まで-』

日時:2008年11月17日(月) 13時00分から16時30分

場所:千葉大学環境健康フィールド科学センター「シーズホール」
     千葉県柏市柏の葉6-2-1 (TX「柏の葉キャンパス駅」 下車3分)

定員:80名(参加無料・どなたでも参加できます)
※ただし、事前申込制です。お申し込み・お問い合わせは下記までお願いします。
 千葉大学大学院医学研究院  環境生命医学講座
 担当:松野  FAX:043-226-2018

内容:詳細はこちら(ポスターpdf版) をご覧ください。

  • シックハウス症候群の定義と現状

  • シックハウス症候群の原因となる主な化学物質について

  • シックハウス症候群への予防医学的対応

  • シックハウス症候群の最近の動向

  • ケミレスタウン(化学物質を低減した街づくり)の見学