2009年8月18日火曜日

血中化学物質健康診断を行いました

 現在、化学物質による地球規模での環境汚染が進行しています。野生生物では、内分泌撹乱物質(環境ホルモン)による悪影響が数多く報告され、ヒトにおいてもその影響が懸念されています。千葉大学環境医学診療科においては、日本人における化学物質の複合汚染を明確にし、ヒトへの影響に関する疫学調査や化学物質汚染の予防法の検討を進めています。

 そこで、8月8日(土)に研究の一環の血中化学物質健康診断としてPCB(ポリ塩化ビフェニール)の測定を行いました。これは体内のPCB濃度を測定し、高いようであればこれからの生活において食事を見直したり、化学物質を少しでも取り込まない工夫をしたりするきっかけにしていただこうというものです。健康診断の趣旨、目的が森教授から説明され、そのあと同意書に署名いただき、採血がおこなわれました。6日から交流協定の調印のため、千葉大学に来学されていた韓国・仁済大学医学部の先生方5名もこの健康診断に参加されました。化学物質の問題は日本も韓国も同じように問題となっているようで熱心にご質問されたりご覧になっていらっしゃいました。

2009年8月7日金曜日

建築学会シンポジウムに参加してきました

 8月4日(火)建築会館にて開催されたシンポジウム「室内空気中におけるアセトアルデヒド・トルエン・TVOCに関するアカデミックスタンダード」にケミレスメンバー(森、戸高、中岡、花里、須田)が参加してきました。これまで室内空気中の化学物質については、厚生労働省による13物質の指針値、TVOCの暫定目標値の制定や国土交通省によるホルムアルデヒドの規制などの対策がなされてきましたが、シックハウス症候群の問題がすべて解決されたとはいえず、実際に建物を設計・施工する立場の学会から新たな指標および化学物質の低減方法や設計基準、施工指針、濃度測定等々の提示がでたことは画期的なことでした。
 今回提示されたアカデミックスタンダードにおいての濃度基準は、アセトアルデヒド48μg/m3, トルエン260μg/m3, TVOC400μg/m3 でした。この基準は新築時においても適用されるとのことで、新築で特に木材を多用した居室についてはTVOC 400μg/m3 をクリアするのは困難である、との声もでていましたが、それでも天然の化学物質についても十分に注意する必要があり、そのためにテルペン類を含めても400μg/m3 とした、との学会側の考え方も表明されました。TVOCの定義、外気濃度の影響、測定時の温湿度など議論の余地はあると思われますが、これを機会に活発な検討や議論がおこり、それを通してヒトをとりまく環境が改善され多くの人が快適で健やかな生活をおくることができるようになることが一番大事なことです。