2008年10月2日木曜日

他の人と少し違う動物好きの回想録

助教の戸高です。スタッフのブログにあるとおり、動物を観察するのが好きです。動物だけではなく、植物や自然を観察するのが好きなのですが、どうやら他の人とは少し違う「好き」みたいです。

 もう10年以上も昔になりますが、マンションの台所にこおろぎのような、「鳴く虫」が迷い込み、チーチー鳴いていたときのことです。人間の台所にいても、パートナーは見つからないと思ったので、外に出してやらねば、と思うのですが、声はすれども姿は見えず、「この辺りでは」と近づいて行くと、危険を感じるらしく、鳴くのを止めてしまいます。近づくと鳴きやみ、離れるとまたパートナーを探して鳴き続ける。げに哀れなものは虫です。

 そこで、私は一計を案じ、この虫のパートナーになる振りをして、「チーチー」と鳴いてみました。すると、ややあって、虫からも「チーチー」と返事がありました。おそらく、「ねえねえ、誰かいない?」と私の声音が聞こえたに違いなく、彼は「ここにいるよ、彼女」と言ったのではないでしょうか。そこでさらに私は「どこ?どこにいるの?」と、「チーチーチー?」と鳴いてみました。彼からも「ここだよ、ここ」と、「チーチーチー」と返事が。「どこよ、どこ?」と、近づいていき、とうとう、冷蔵庫の裏のコードにしがみついている「彼」を見つけました。手でそっと包んで、「それっ!」とばかりにベランダに走り、外に出しました。

 この経験から、虫というのは、単に、鳴き声の「音」そのものの聞こえ方でお互いを判別しているのではないか、と思いました。それまでは、単純な音の聞こえ方ではなく、虫にしかわからない「言葉」のようなものがあるのではないか、と思っていたのです。しかし、単純に、人間が鳴きまねをしただけでも、虫は簡単にだまされてしまうようです。

 その後、シジュウカラが夏に「チュチュピーチュチュピー」と鳴くと、私も真似をして「チュチュピーチュチュピー」と鳴いてみました。すると、やはりややあって、先方からも「チュチュピーチュチュピー」と返事がありました。楽しくなった私は、何度も鳥と鳴き交わし、その結果「チュチュピー」をたとえば2回繰り返すと、相手も2回繰り返し、こちらが4回鳴くと、相手も4回鳴く、ということを知りました。鳥に数がわかるとは思いませんが、リズムを真似しているのではないでしょうか。

さて、「鳥つながり」でもう一話。先日、9月の中旬だったと思いますが、ケミレス実験棟での実験を夜8時頃終えて外に出て明るい月に照らされた空を見ていたところ、頭上を、見慣れない形をした物体が飛んでいく気配を感じました。よくよく注意してみると、白っぽい鳥たち数十羽が、「V」の字になって、西から東に向かって飛んでいくのでした。

 それほど高い上空ではなく、ビルでいうと、おそらく10階部分くらいではなかったでしょうか。結構はっきりと鳥の形も見えました。ただ、何の鳥だったか、残念ながらわかりませんでしたが。速度は、自転車で全速力で走っていったくらいの速さだったように思います。近くで見ると意外と速い速度でした。

 気温も低くなり、夏の終わりを感じて、これから南の国に飛んでいくんだろうなあ、と想像しました。先頭を行く鳥は責任重大だなあ、とか、皆体脂肪率低そうだなあ、とか、お腹すいたと思っても一人で道草食ったりできないんだろうなあ、とか、次々に想像し、鳥の過酷な人生を思うと、自分のだらしない生活が恥ずかしくなりました。

戸髙恵美子(千葉大学環境健康フィールド科学センター 助教)