2010年10月20日水曜日

ケミレスタウンの緑の管理について

ケミレスタウンでは、どうやって緑をきれいに保っているのですか、と質問をされることがあります。

ケミレスタウンでは、殺虫剤や除草剤などの農薬を使うことができません。しかし、雑草の生える早さはすごいものです。夏は、抜いても抜いても、一週間で元通りです。以前はスタッフが交代で手作業で抜いていたのですが、なにぶん素人ですので、とても追いつきません。そこで、柏市のNPO野良坊さんや園芸学部の先生に教えてもらいながら管理をしています。

緑が多ければそれだけたくさんの種類の虫も発生します。基本的には、人に害を与える虫でなければほっておくことにしています。今年もたくさんの種類の蝶や蛾やバッタ、トンボなどを見ることができました。

昨年の夏、クルミの木にアメリカシロヒトリが大量に発生した時のことです。アメリカシロヒトリの幼虫がうじゃうじゃとクルミの木に列をなして上っていきます。葉っぱには何十、何百という幼虫がたかり、見る見る葉っぱは筋だらけになっていきます。

私たちはどうしてよいかわからず園芸学部の先生に聞いたところ、アメリカシロヒトリは大量に発生して葉を食べ尽くすが、人を刺したり触れて皮膚がかぶれるようなこともない、だからそのままにしておいても人に害はない、ただ、木が丸裸になってしまうのでそれが都合が悪い場合は退治する必要がある、とのことでした。

NPO野良坊さんにも聞いたところ、昔の農家の方は焼酎と酢を同量ずつ混ぜて水で薄めたものをかけて害虫を退治していたこと、そして、アメリカシロヒトリにすべての葉っぱを食べられてしまっても、来年になればまた新しい葉っぱがでてくる、とのアドバイスをいただきました。

結局どうしたかというと、虫がついている葉っぱの枝ごと軍手をはめた手ではずしてゴミ袋に入れ、口をしっかりと閉めて燃やせるゴミとして捨てることにしました。ほとんどの葉っぱに幼虫がついていたので、木はほとんど丸裸になってしまいました。

心配しましたが、プロにアドバイスしていただいたとおり、今年も春からニョキニョキと青葉がでてきて、元気に風に揺れています。

ほかにも、鑑賞用リンゴの木にはクロモンシャチホコという害虫が大発生しましたが、こちらも人に害を加えることはないので、「喰うに任せる」ことにしました。木は丸裸になりますが、死にません。春がくれば何事もなかったかのように元気に新緑で私たちを楽しませてくれます。ただ、黒い毛虫がうようよいるのは見学者も気持ち悪いと思いますので、地面に落ちた毛虫は靴で踏みつぶして退治しました。

今年も夏に見回っていたところ、ある木の一部の葉っぱが筋だけになっていました。またもや大発生か?と思い、園芸学部の先生に伺ったところ、被害の発生した木を見て、「食われた跡からして、クロモンシャチホコが発生したようだが、すでに被害が止まっている。おそらく初期の段階で鳥に食われたのだろう」とのことでした。

ケミレスタウンがある千葉大学柏の葉キャンパスは、敷地内に緑が多いためたくさんの種類の鳥がいます。さらに、ケミレスタウンのすぐ南側には調整池があり、カモやシラサギなどの水鳥もたくさん営巣しています。そのおかげで、今年の夏のように害虫の大発生が防げました。たくさんの種類の鳥がいることが大事なんですね。

ケミレスの緑の管理ですが、以下のことに注意しています。

1.普段から木をよく観察して、害虫の発生が見つかった場合は、なるべく早いうちに対応する。
2.人に危害を加えない害虫であれば、ほっておくか、大量に発生した場合は周辺の住宅に迷惑をかける可能性があるので退治するが、殺虫剤はなるべく使用しない。
3.スズメバチやイラガ、チャドクガなど人に危害を加える害虫は殺虫剤を使って急いで退治する。


しかし、最近新聞で見たのですが、杜の都仙台の緑の並木にたくさん虫が発生して、市民から苦情がくるので市が殺虫剤を撒いて退治する、ということでした。緑は好きだけど虫は嫌い、ということでしょうか。緑と虫と鳥はセットだと思うのですが、虫は見るだけで嫌、という人は確かに多いですね。これから50年後の日本はどんな環境にあるのでしょうか。気になります。